2019-06-29
生活の柄
『生活の柄』
日本フォークソング界の重鎮、故高田渡さんの楽曲です。
随分と昔の曲で、それこそ私は全く世代ではないのですが、数年前にふとしたきっかけでこの曲を聞いてから心に染みついて離れません。
この曲自体に何か強いメッセージが込められている訳ではなく、ある日の情景をありのままに描写した詩。そしてそれを穏やかに歌い上げる高田渡さん。そこから浮かび上がってくるのは生活の柄そのものです。
そもそもメロディーが哀愁深くて非常に良い。曲のベースになっているのはカーター・ファミリーの『When I’m gone』ですが、これが山之内獏さんの生活感溢れ出る抒情的な詩とこれ以上ないくらいに相性が良い。なんだか聴いていると地に足のついた感覚になって、やけに気持ちが落ち着くんです(笑)
そんな『生活の柄』は、ふとした瞬間ふいに聴きたくなる曲のひとつ。
正直な所、私はフォークソングが全盛だった60~70年代の世代でもないし、この曲そのものを時代性を伴って受け取れている訳ではありません。それでも、素朴に生き、ありのままに唄う、そんなこの曲から伝わってくる自然体な様には何だか惹かれてしまうんです。
そういえば、日本テレビのアナザースカイという番組で晩年の大杉漣さんがカバーしたものが放送されていましたが、これもまた良かった。歌い手によってまた異なる生活の柄が浮かび上がってくるところが非常に味わい深い。
今となっては叶いませんが、一度でいいから高田渡さんご本人の歌う『生活の柄』を生で聴いてみたかったなぁ。
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